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寄付金格差が「教育格差」に? 親なら知っておきたいオランダの「小学校寄付金問題」(2016年10月14日)

オランダの小学校には寄付金を募る制度があります。今その制度が、貧困家庭の「教育格差」につながるのではと問題視されています。
 
オランダへの教育移住を検討したり、すでにオランダで暮らしていて小さいお子さんがいるご家庭にとっては見逃せない問題です。
 
オランダの小学校の寄付金制度
 
オランダの小学校では、任意で保護者からの寄付金を募る制度があります。
 
この寄付金は、遠足や水泳教室、クリスマスなど季節物の行事といった学校外でのアクティビティーのほか、ランチタイムも学校にいる教員の手当てなどに充てられます。
 
寄付金の金額は、年間10ユーロ(約1100円)から高いところでは1500ユーロ(約17万円)と幅があります。
 
政府から学校へ支給されている運営費は、国によって決められたシラバスの内容に即した授業に充てなければならないため、それ以外の学校独自の授業やアクティビティーについては保護者からの寄付金で賄われているのです。
 
「任意」のはずの制度が悲劇を生んでいる
 
しかし、貧困家庭を教育格差から守るオランダのボランティア団体「Leergeld Nederland」によると、この寄付金制度が子供たちにとって「好ましくない状況」を生むことがあり、大きな問題となっているようです。
 
例えば、経済的な理由などで保護者が寄付金を払っていない場合、その子供は寄付金で運営されるアクティビティーに参加できないことがあります。中には、消費者金融からお金を借りて支払う親も。
 
また、衝撃的なことに、親が寄付金を払っていない子供の名前を、校内の掲示板に貼り出すケースもあるそうです。
 
同団体は、貧困家庭の子供たちが不利な立場にならないよう、「小学校は任意の寄付金をできるかぎり制限すべきだ」と主張しています。
 
寄付金問題に関する政府の方針は?
 
寄付金制度に関する政府の方針は以下の通りです。
 

  • 寄付金の使い道や金額に賛成しなければ、保護者に支払いの義務はない
  • 寄付金が全員参加のアクティビティーに使用されるのであれば、寄付金の有無に関わらず、すべての子供が参加すべき
  • 全員参加のものでなければ、学校側はその子供のアクティビティーへの参加を拒否することができる
 
三つ目の方針については、たとえ全員参加のアクティビティーではなかったとしても、「学校側が子供の参加を拒否できる」というのは、日本の教育現場では考えにくいものではないでしょうか。
 
子供にかわいそうな思いをさせたくないことからも、親としては「任意」とはいえど、強制的な意味合いを持っていると考えてしまうでしょう。オランダの教育は世界でトップクラスであると言われていますが、こうした側面があることも知っておく必要があります。
 
寄付金制度は、各学校で独自に決められています。入学を希望する学校については、各学校のウェブサイトで確認することをお勧めします。
 
抑えておきたいオランダの小学校に関する基礎知識
 
最後に、寄付金制度に関連してオランダの小学校に関する基礎知識についてご紹介します。
 
オランダ国内で暮らすすべての国籍の子供は、4歳の誕生日を迎えると小学校に入学できます。オランダの義務教育は5〜18歳となっていますので、実際に学校に通う義務が生じるのは5歳の誕生日を迎えてからとなります。
 
小学校に通う年齢は4〜12歳。その後は中学校にあたる「Secondary Education」に進学します。
 
小学校への入学手続きの開始は早く、子供が1歳の誕生日を迎えたときから可能です。希望する学校に見学を申し込み、気に入れば登録手続きをします。中には定期的に説明会を開催している学校もあります。
 
オランダには、モンテッソーリやシュタイナー教育、イエナプラン、ダルトンプランなどの教育指導法を取り入れた小学校もありますが、人気の学校はすぐに満員となってしまい、順番待ちリストに入れられることもあります。ご希望の学校がある方は注意が必要です。
 
基本的にオランダ政府から認可を受けている公立校は学費が無料です。公立校以外にも、インターナショナルスクールなどの完全プライベートスクール、インターナショナルスクールの中でもオランダから一部資金提供を受けているセミプライベートスクールなどがあります。
 
このように、小学校の選択肢はさまざまです。小さいお子さんがいるご家庭は、各市役所のホームページなどで詳細を調べてみてはいかがでしょうか?

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