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オランダ進出日系企業に追い風、OECDが提言する優秀な海外人材確保のための対策とは?(2016年9月10日)

OECD(経済協力開発機構)は9月初めに発表したレポート で、今後オランダ経済がさらに発展していくためには、海外から高度かつ専門的な技術を持つ優秀な人材の受け入れが不可欠であるとし、そういった人びとを引きつけるために法律やビザ基準の見直しなど、受け入れ体制を整えるべきであると述べています。

実際にオランダは、人口が1700万人にも満たないこともあり、今後10年間で優秀な人材の需要が国内の人材だけではまかないきれないと見ています。海外からの人材確保により積極的になっていくでしょう。

移民労働者の現状

EU圏外からオランダで働くために移住してきた人びとは、その他の理由で移住してきた人びとに比べてその割合は低く、2013年の統計ではたったの9%にとどまっています。この割合はドイツやフランスよりは高いものの、EU圏の平均値を下回っています。

オランダは「Kennismigranten」(知的移民)という、海外から優秀な人材を受け入れるためのスキームを実施しており、毎年約7000人がEU圏外から労働のために移住してきています。しかし、同国が経済発展のために重要視しているセクターで働く人びとの割合は、そのうちの20%にとどまっています。

加えて、労働・居住地域も北・南ホラント州に集中しており、地方での人材確保はまだまだ難しい状況です。

OECDが推薦する今後の対策とは

OECDのレポートでは、今後オランダが取るべき対策を3つの柱に分けて紹介しています。

海外からの優秀な人材の受け入れ体制の強化
●    一部のセクターやIT産業において、ビザ発給における給与基準を引き下げ、雇用しやすい環境を作る
●    人材が足りていない職業でビザ発給の給与基準に満たないものをリスト化し、外部から把握しやすくする

海外からの優秀な人材や留学生の雇用体制の強化
●    海外から移住してきた優秀な人材だけでなく、その配偶者やパートナーなどの採用に積極的なローカル企業のプロモーションを実施する
●    留学生向けのオランダ語教育や、オランダ労働市場での経験の機会を提供する優遇措置を用意する

人材受け入れ先としてオランダをプロモーション
●    オランダ労働市場に関するオンラインにある情報を英語や他言語で提供しアクセスを促す
●    オランダの大学や海外の特定の大学の卒業生(直近の卒業生に限らず)に、同国での就職活動の特別期間を提供したり、就職につながる試験的なプログラムを実施したりする

このレポートを受け、オランダでは今後、海外からの人材確保に向けて少なからず動きが出てくると予想されます。同国で就職したい個人だけでなく、オランダや欧州への進出を検討している企業にとって人材確保がしやすくなる可能性があるため、ビザ情報の更新や新しいスキームについて引き続き注視してください。