
昨年のフランス・パリ、ベルギー・ブリュッセルでのテロや、ドイツ・ケルンで起きた集団暴行事件など、今まで安全だと思われていた、日本人旅行者にとって馴染みのあるヨーロッパで、危険な事件がたびたび起きています。
一方、そんなヨーロッパに位置するオランダは今、法人税率の低さや起業ビザの優遇などを背景に、日本人もしくは日本企業から進出先、移住先として注目を集めています。それでは、同国の最新の治安事情はどうでしょうか。
殺人事件で死亡した人数は過去20年で最低に
オランダ統計局(CBS)は7月29日、同国で昨年発生した殺人事件の被害者数が合計120人となり、1996年の統計開始以来、最低になったと発表しました。前年(2014年)の144人から比べると24人減少し、内訳は77人が男性、43人が女性でした。
過去20年でもっとも被害者数が多かった年は2001年の264人で、昨年の倍以上でしたが、その数は徐々に下がってきています。
都市別に見てみると、昨年もっとも被害者数が多かったのが首都アムステルダムで13人。次いで、オランダ第2の港湾都市ロッテルダムで12人でした。
人口10万人あたりの都市別の被害者数で見てみると、2011〜2015年はアムステルダムで年平均2.3人、ロッテルダムで2人となり、オランダ全都市の平均である0.9人と比べると、著しく多いことが分かります。
統計局の発表によると、2014年単体でのオランダ全都市の平均はさらに低く、0.7人でした。
他のヨーロッパの国々と比べると?
2014年単体でのオランダ全都市の平均である「0.7人」という数字を、他のヨーロッパの国々と比較してみましょう。
統計局は、2014年のヨーロッパ各国の人口10万人あたりの殺人事件被害者数を比較しています(一部、2013年の数字が含まれます)。その結果のうち、上位5カ国と主要国を以下に挙げてみました。
● 1位 ロシア 9.5人
● 2位 ブルガリア 3.6人
● 3位 ベルギー 1.8人
● 4位 フィンランド 1.6人
● 5位 ハンガリー・ルーマニア 1.5人
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● 7位 フランス 1.2人
● 9位 イギリス 1.0人
● 10位 ドイツ 0.9人
● 11位 イタリア 0.8人
● 12位 オランダ、スペイン 0.7人
● 14位 スイス 0.5人
この結果は2014年の数字に基づくものなので、さらに被害者が減少した2015年ではスイスに追いつくほどになっているかもしれません。このことを踏まえると、オランダはヨーロッパのなかで比較的安全な国と言えるでしょう。
オランダへの進出や移住を検討している人にとっては、一つの安心材料ですね。とはいえ、同じく人口10万人あたりの殺人事件被害者数が0.3人(2012年)の日本に比べると多いと言えますので、日常生活においては十分に気をつける必要があります。