オランダは人口規模(1700万人に満たない)からも、イギリスやドイツといったヨーロッパの大国の影に隠れているのが現状です。
しかし、世界を驚かせた「BREXIT」の動向やオランダ政府の努力により、小国でありながら次なるスタートアップの中心地になる可能性が浮上しています。
今回はオランダのスタートアップ事情についてご紹介します。
欧州デジタル都市ランキング、ロンドンに次いで2位
決済サービス業界に特化したメディア「PYMNTS 」が先日報じたところによると、アムステルダムがヨーロッパにおけるスタートアップのホットスポットとして注目され、実績も出始めているようです。
とくに、金融サービスに特化した情報技術をあつかう「フィンテック(FinTech)」市場が盛り上がっているとのこと。
国土面積が九州より少し大きいくらいの小国であるオランダが、なぜホットスポットになりつつあるのでしょうか? 同国のスタートアップにとっての基本的なメリットと現状を見てみましょう。
● 人口の約90%が英語を話す
● ヨーロッパ内のアクセスの良さ
● インターネット普及率が94%と高い
● 雇用の41%がスタートアップにより創出されている
● 2016年最初の4ヶ月で、地場のテクノロジー企業は3700万ユーロの資金調達に成功
● 2015年、地場のスタートアップはトータルで153案件、4300万ユーロの資金を調達
● 「2016 Startup Nations Monitor」ではオランダがスタートアップ支援の政策施行がヨーロッパでもっとも盛んな国に選ばれている
昨年のヨーロッパのデジタル都市ランキング「European Digital City Index 」では、アムステルダムがイギリスの首都ロンドンに次いで2位となっています。
これは、グローバルIT企業(Uber、Netflix、Teslaなど)が最近アムステルダムにヨーロッパ本社を構えたことなどが要因です。また、BREXITによるイギリスのヨーロッパのハブ都市としてのステータスの低下もこれを後押ししています。
スタートアップを支援するオランダ政府の試み
政府によるスタートアップエコシステムの支援も、この盛り上がりの要因の一つです。
オランダでは、スタートアップの設立にかかる費用は他国に比べて低く、その手続きも容易になっています。また、起業家の支援を目的としたメンターネットワークや、特別プログラムなども整備されています。
例えば、今年初めに政府はブロックチェーンの開発を専門とする大学の設立を発表しました。これにより金融機関や金融系教育機関の呼び込みも期待され、ますますフィンテック市場が活発化すると予想されます。
このように、新技術を次々と取り入れる政府の姿勢もオランダのスタートアップシーンを形作っています。
さらに、法律や環境の整備で外国から優秀な人材を呼び込むだけでなく、英語教育を積極的に取り入れることなどで国内の人材強化も推進しています。スタートアップエコシステムの形成には欠かせない優秀な人材のプールは、今後ますます強固なものとなっていくでしょう。