オランダのビジネス進出はオランダ起業サポート

  1. トップページ >
  2. ビジネスの記事一覧 >
  3. ユニクロ柳井氏、ドン・キホーテの安田氏も利用 富裕層が見逃せないオランダの「資本参加免税」とは

ユニクロ柳井氏、ドン・キホーテの安田氏も利用 富裕層が見逃せないオランダの「資本参加免税」とは(2016年7月28日)

オランダは法人税が20〜25%と他のヨーロッパの国々に比べて低く設定されており、そのことがヨーロッパで事業を展開したい外資系企業を惹きつけてきました。

もう一つ、外資系企業、特にその株式を保有する資産家を惹きつけている、一般には広く知られていないオランダならではのメリットがあります。それが「資本参加免税」です。

この資本参加免税の制度、日本長者番付でも首位のファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏や、総資産額1972億円を持つドン・キホーテホールディングス最高顧問の安田隆夫氏など、錚々たる資産家が利用しています。

本記事では、この「資本参加免税」についてご紹介します。

資本参加免税のメリットと対象者の条件とは

オランダの「資本参加免税(Participation Exemption)」の制度は、「一定の条件」を満たしたオランダに居住する法人が、外国に居住する法人からの配当金や持ち株の売却処分による利益を受け取る場合に「非課税」となる免税措置です。

日本貿易振興機構(JETRO) によると、その「一定の条件」とは以下の通りです。

●    外国に居住する法人の発行済株式の5%以上を、事業年度の初めから継続して保有していること
●    外国に居住する法人が、その国の中央政府に対する法人納付義務者であること
●    外国に居住する法人の株式保有が事業の一環であり、単なる資産運用ではないこと
●    株式保有する外国に居住する法人が、その実態があり事業活動を行っていること

2点めの条件は、資本参加免税の目的が二重課税の防止であることと関係しています。つまり、保有する株式を発行する法人がその国で納税義務者である(=納税している)時点で、オランダで追加課税はされないということです。

日本の資産家の例で説明しましょう。日本企業の株を5%以上保有している資産家がオランダで法人を設立し、その法人へ保有している株式を譲渡することで、配当金を非課税で受け取ることが可能になるのです。

日本で株式の配当金を受け取ると配当所得とみなされ、所得税や住民税として約20%を納税する義務が発生するため、これはとても大きな違いです。

柳井氏はユニクロ株をオランダの資産管理会社へ譲渡

資産総額約2兆円の柳井氏は、2011年からこの制度を利用しています。同氏は自分が保有するユニクロ株の531万株を、同氏が全株保有するオランダの法人へ譲渡。これにより同氏は、日本で株式を保有していた場合には支払うはずだった7億円の所得税・住民税を支払わずに済んだようです。

また、安田氏も昨年と今年、保有する自社株1550万株をオランダで自らが保有する資産管理会社へ売却しました。その売却した株式の自社株における割合は9.81%となっています。

日本では、こうした資産家を「税逃れ」と批判する見方もあり、2015年7月以降、海外へ移住する資産家がもつ株式に対して課税する制度も導入されました。しかし、この制度の目的が「二重課税防止」であることを踏まえると、利用の意味合いも変わってくるのではないでしょうか。