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オランダでの労働許可取得は本当に必須になるのか?(2016年7月19日)

労働許可必須への移行期間が延長

オランダ移民局(IND)は2016年6月21日、日蘭通商航海条約によりこれまで労働許可の取得が不要であった日本国籍者に対し、同年10月1日より、他の外国籍者(EU以外)と同様、居住許可に加えて労働許可の取得を必須に戻すと通知していました。
この通知はオランダ在住、もしくはオランダへの移住を計画していた日本人を驚かせるものでしたが、それから約1カ月後の7月14日、オランダ移民局はこの通知を一部変更。労働許可必須への移行期間を現行の10月1日から3カ月延長し、「2017年1月1日」より有効とする旨を再度通知しました。

労働許可必須は確定? 異なる見解も

そもそも日本国籍者に対し、労働許可の取得が必須に戻されるという措置は、日蘭通商航海条約の最恵国待遇条項の根拠となっていた、スイス/オランダ二国間条約が無効となったことを受けてのもの。その経緯については、『オランダ企業サポート』のこちらの記事で過去に紹介しています。

しかし、前回の記事でも触れたとおり、日本国籍者の労働許可取得が再度必須になるかは、まだ確定事項ではないようです。移民弁護士事務所の「ADAM & WOLF Immigration lawyers」は同社のFacebookページで、このINDの通知が「時期尚早」であるという見解を示しています。

その理由としては、
● 現在行われている日本国籍者に課せられた高額な滞在許可申請料をめぐる裁判の判決がまだ出ていないこと
● その裁判でオランダの政府評議会がINDの主張を認めた場合にのみ、日本国籍者は再び労働許可の取得が必須となること
と掲載されています。

現時点で確定していること

いずれにせよ、今後新たに通知が出されるまでは、6月21日の通知の内容と同様に、
● すでに「オランダ労働市場への自由な出入り」が許可されている滞在許可を取得している日本国籍者
● 2016年12月31日までに居住許可の申請を提出した日本国籍者
については、その滞在許可が有効であるかぎりこれまでと同様の待遇が認められると、今回の通知には記載されています。

労働許可取得が必須になった場合

仮に、前述の裁判でINDの主張が認められた場合、2017年1月1日以降は、
● 日本国籍者が新たに居住許可を申請する場合
● および、現在「オランダ労働市場への自由な出入り」が許可されている滞在許可を取得している日本国籍者がその滞在許可を更新する場合
は、労働許可の取得が義務付けられます。

しかし、日本国籍者の中でもどのような人がその対象者に該当するのかなど具体的な措置については、今後の通知の内容で確かめる必要があります。

例えば、一部では個人事業主にはこの措置は適応されないのではないか、という見方も。あるいは、これまで他の国籍者の個人事業主には課されていた、事業とその人がもつ専門性との合致性や経験年数などをポイント制で行う審査が、日本国籍者の個人事業主にも適用されるようになるのではないかという憶測も飛び交っています。

オランダ企業サポートでは今後も、日本国籍者の労働許可取得について新しい情報がありましたら随時アップデートしていく予定です。